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オシャレなフコイダン

「ようです」とか「でしょうか」のような暖昧な言い回しや、あるいは「○○であれば、××です」のような条件脈に落ちないのは、圧倒的に鉛フリーハンダの方が有利というわけではないのに、EUが規制を始めたということです。 私たちの身近には、もっと多量の鉛が使用されているものがあります。
自動車のバッテリーです。 別名を鉛蓄電池というバッテリーがどっしりと重いのは、電極が鉛と酸化鉛でできているから。
知り合いのスウェーデンの担当官によれば、EUで自動車のバッテリーを規制する予定は当分ないということです。 良い代替品がないのが理由だとか。
ヨーロッパの主要産業である自動車はお答めなしで、もっぱら輸入に頼っている家電製品だけ狙い撃ちにされた感じがするのは私だけでしょうか。 EUでは水銀の使用も規制されつつあり、なじみ深い水銀体温計も使用禁止の方向で進められるそうです。
体温計は、すべてデジタル化されるのでしょう。 科学の世界でも、はっきりと断言できることは限られています。
「炭素は燃えて二酸化炭素になる」というのは当たり前ですし、化学の教科書にもそう書かれています。 でもこれは、十分な酸素のあるところで、十分に細かい粒子になった純粋な炭素粉末を、十分な時間をかけて燃焼した場合(つまり完全燃焼)に限られたことです。
化学実験室では、そのような条件が作られます。 そうして同じ条件下であれば、いつ、どこで、だれが炭素を燃やしても二酸化炭素だけが出る。

これを再現性といいます。 しかし、現実の私たちを取り巻く環境は、実験室のようにはいきません。
純粋な炭素を燃やすとしても、常に十分な酸素や燃焼温度、時間が保証されているわけでもありません。 二酸化炭素だけではなく、一酸化炭素や燃え残りの細かい炭素の粒が発生することもあります。
一酸化炭素は有毒ガスです。 煤も微小なものは浮遊粒子状物質ですから、健康を害します。
「純粋な炭素を燃やしたら、有害なものは出るのですか、出ないのですか?炭素は安全なのですか、それとも有害なのですか?」という問いがなされても、科学者は「完全燃焼できれば、一酸化炭素や煤は発生しません」としか言えません。 二酸化炭素でも、濃度が高くなれば健康に影響を及ぼします。
ゴミを燃やしたらダイオキシンが出ます。 その量は燃焼温度によって変わり、800℃以上の高温ではほとんど出ません。
でも、発生量を限りなくゼロに近づけることはできても、ゼロにすることはできません。 そして、正確にどれだけの量が発生するかは、実際にゴミを燃やしてみるまでわかりません。
ダイオキシンの発生量は、燃やすゴミの量や質、燃焼温度、焼却炉内の構造、炉内での酸素の行き渡り方など、様々な要因で変化するからです。 さらに、煙突から出たダイオキシンがどこにどれだけ飛散するかは、風や天気の具合に左右されます。

正確に予測することなど不可能なので、標準的な気象状態を想定して、シミュレーションでダイオキシンが着地する地点の濃度を予測するしかありません。 そして、空気や地面に届いたダイオキシンが、どのような経路でどれだけ人体に届くのか。
これも推測するしかありません。 体に入ったダイオキシンは、人体でどれだけ悪さをするのでしょうか。
環境問題が科学的不確実性を避けられないのは、現在だけの話ではありません。 かつての日本の産業公害対策も、科学的不確実性との戦いでした。
1950〜80年代にかけて吉田山県神通川流域で発生したイタイイタィ病は、上流にある神岡鉱山から流れ出たカドミウムが原因であるとされています。 しかし、カドミゥムを長期的に摂取するとなぜイタイイタイ病になるのかというメカニズムは、いまも完全に解明されるまでには至っていません。
裁判では、イタイイタイ病が神通川水系を潅概用水に使用している地域のみで発生している、同水系の土壌、植物、魚類、患者の標本は他と比べてカドミウムの量が多い、患者の発生増加と神岡鉱山の生産量の増加が並行関係にあるという状況証拠だけから、神岡鉱山からのカドミウムが原因であると認定されました。 また年齢や性別、体質により、ダイオキシンに敏感な人とそうでない人もいるでしょう。
ですから、どんなにきちんとゴミを燃やしても「悪いことは絶対に起きない」と言い切ることはできません。 環境問題にはこのような科学的不確実性が常につきまといます。
発病メカニズムは不明でも、その物質に汚染された地域でのみ病気が発生したということです。 80年代の四日市瑞息の場合には、不確実性はさらに大きなものでした。
イタイイタイ病とちがって、瑞息や気管支炎は公害で汚染されていない地域でも発生します。 四日市公害裁判では、瑞息が四日市だけに発生したからというのではなく、四日市が他地域に比較して患者数が多いということで疫学的因果関係が認められ、石油コンビナートに賠償が命じられました。
患者さんたち原告が勝訴した判決文にも、四日市瑞息が激増した理由が大気汚染以外には見つからないということが理由として示されていますが、大気汚染が病気の原因であるとまでは断定できませんでした。 硫黄酸化物や煤塵がなぜ瑞息の原因となるのか、瑞息になるのは小児が多いはずなのに、なぜ四日市では大人が瑞息になるのかというような疑問に対して、当時は専門家も答えられなかったのです。

水俣病でも、チッソ水俣工場の排水に含まれる有機水銀が原因らしいということは、かなり前から研究者が指摘していました。 実際に工場の排水口周辺の底質(河川や海の底にたまった土)に有機水銀が含まれていたので、チッソの責任が問われたわけです。
環境問題の難しいところは、こうした科学的不確実性から逃げることができず、その中で、規制をするかしないかを決めなければいけないことです。 水俣病は、有機水銀が原因物質であることが早い段階で有力だったにもかかわらず、国や県が対策を怠ったことで被害が拡大してしまいました。
「疑わしきは罰する」という方向で、国が危なそうな物質を早めに規制すればよかったのです。 しかし、チッソはアセトアルデヒドを製造する工程で、触媒として無機水銀は使用していましたが、有機水銀は使用していませんでした。
当時のチッ素の社長は、「当社が使用しているのは無機水銀であり、それがいかなる経路で有機水銀に変わるかということは明らかになっていない(だから当社に責任があるとはいえない)と発言していました。 当時の製造プロセスの中で、どのような反応メカニズムによってどれだけの量の無機水銀が有機水銀に変化するかが明らかにされたのは1988年。
排水や水俣湾の魚介類から有機水銀が検出きれてから、10年以上経ってからのことでした。 このような事態が起きないようにするための考え方が、「予防原則」というものです。
けれども、その解釈は国によって、人によってすこしずつ違います。 地球サミットでは、気候変動枠組み条約と生物多様性条約が署名されましたが、当時のブッシュ(パパの方です)政権はどちらの条約にも否定的でした。

2006年n月現在、アメリカは、生物多様性条約を批准していません。 この時、アメリカは気候変動枠組み条約に対する批判として(そしてその後の京都議定書に対する批判としても)、科学的不確実性を指摘していました。

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